限定の葬儀
Lも放っておけなかったのか、気持ちよく承知してくれた。
L、韓国人の友人、私の3人は週に2回、持ち回りでレッスンを続けた。
我の家を訪れる回数が増えるにつけ、Lの習慣も変わっていった。
Lの家で出されていた紙コップが、瀬戸物に代わり、手料理まで披露してくれるようになり、我我の車が見えなくなるまで見送ってくれるようにもなった。
3人の緋は強まり、もう欠かすことのできない週2日となった。
ところが、ある時、休むことはおろか遅刻することさえなかったLが、「来週のレッスンはキャンセルしてほしい」と言う。
理由を聞くと「乳ガンの化学療法が始まる」というのだ。
初めてのことだから気分が悪くなり帰って来られなくなるといけない、というLの配慮だった。
キャンセルはこの時−回だけだったが、我がLの家を訪れる回数が増え、彼女はヘアピースを着けるようになった。
私は「平常心、平常心」と心に言い聞かせ、努めて明るく振る舞おうとした。
だが日増しに衰えていくLの姿についに耐え切れず、泣き出してしまったことがあった。
すると、Lは「A、どうして泣くの?私には神様と優秀なスタッフがついているのよ、何も心配することはないの」と逆に励まされるありさま。
レッスンなどもうどうでもいい。
飛行機のタラップに足を降ろす寸前まで、Lと1緒にいたかった。
私の帰国が決まった時、Lは少し早いクリスマスに我我家族を招待してくれた。
7面烏にワイン、アメリカの伝統的な料理がテーブル狭しと並べられ、そのテーブルを囲み我は、手を繋ぎ人間の鎖を作って神様にお祈りした。
Lの、そして皆の健康を……。
楽しい宴が終わり、タクシーに乗り込むと、Lは車が見えなくなるまで、我を見送ってくれていた。
それがLとの最後の別れとなった。
近所のスーパーマーケットで買い物をしていると、「Aさん!」と若いお嬢さんに声をかけられた。
振り返ると亡くなった私の友人そっくりの娘さんが、そこに立っている。
1瞬、タイムスリップしたかのような錯覚さえ感じた。
しかもその横には、お母さんそっくりの可愛い女の子がちょこんと立っている。
まさに輪廻転生だと思った。
私の友人は、子宮ガンでこの世を去った。
享年52歳だった。
おしゃれでピチピチのジーパンが大好きだった彼女は、真冬でも素足で飛び回っていた。
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